おかのりゆきのぶろぐ

アウトプットを最大の学びと捉え,ヘルスケアの専門家として,研究者の端くれとして,情報を発信します

認知行動療法の原則メモ

▶︎1.対象者の抱える問題を常に定式化し,対象者の概念化をする.

導入時の面接での語りと認知的定式化に基づき,対象者を概念化し,情報の追加に伴い,新たに概念化する.
治療的戦略として,概念化を対象者と共有し,合致しているか確認を続ける.

 

▶︎2.治療同盟を重視する

カウンセリングに必要な基本的要件を対象者に示す.

>暖かさ,共感性,思いやり,純粋な関心,治療者としての力量)

対象者に「理解してもらえた」と感じてもらえるよう,治療が肯定的に受け入れられるようにセッションの終了時には感想を聞く.

 

▶︎3.協同作業と治療への積極的関与を重視する

治療はチームワークであり,課題,頻度,宿題は一緒に決める.

最初は,対象者<治療者.徐々に関与できるようにしていく.

 

▶︎4.問題に焦点をあてた目的志向的方法である

対象者に自身が抱える問題を挙げてもらい,それに対する目標を設定するようにすると

今後の治療でどのようなことに取り組むか共有できる.

例:思考の根拠を検討し,その妥当性を検証するように導き,行動実験によって検証する作業を行う.

 

▶︎5.今,遭遇している,又は,悩ませている具体的な問題に焦点化する.

1)対象者が過去に焦点を当てたいと強く望み,行わなければ同盟関係が崩れる

2)対象者の信念形成過程を理解し,固定された思考の修正する

場合には,過去に目を向けることもある.

 

▶︎6.対象者自身が自身の治療者になることを目指し,再発予防を重視する. 

治療ノートを用意して,セッションでの重要なポイントを記入する.

> セッション終了後も,自分のために活用できる

 

▶︎7.介入回数や期間には制約があると考える 

症状が複雑ではない場合,6−14回のセッションで終結することが多い.

ブースターセッション(追加セッション)を設定することもある.

※ゴール:症状軽減・寛解の促進,問題解決の援助,再発防止のスキル獲得.

 

▶︎8.セッションを構造化する

 導入 > 中間 > 終結 から成る.

・導入:振り返りやアジェンダの設定

・中間:宿題の振り返り,各アジェンダの振り返りと話し合い,新たな課題設定

終結:フィードバックの引き出し

 

▶︎9.対象者自らが非機能的な思考や信念を同定・評価し,対応できるよう支援する

 誘導的発見と質問法(ソクラテス式質問法)を通じて行う.

行動実験による新たな体験を通じて,自らの思考を検証することも支援する.

これらを実施する際の拠り所となる理念:協同的実証主義
>対象者の自動思考の検証と妥当な思考の探索と発見を援助

 

▶︎10.多様な技法を使う

対象者の概念化,問題の焦点化,セッションの目的,を踏まえて選択する.

 

Reference:
認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版 
-ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト‐

アウトプットする形を決めるセンス

今日は休みだったので,MRIの画像を眺めつつ今見えている事実を,どうやってまとめあげようかと試行錯誤の繰り返し...

 

同じ現象を見えていても,アウトプットの選択の仕方では,有意差がなかったり,Effect sizeも小さくなる.だから,どういう形式でアウトプットするかはその人のセンスだなと感じる.そのセンスも努力と経験で作られてるんだろうから,自分も努力をするしかない.

 

切磋琢磨する環境

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明日から毎日,内輪でのモーニング勉強会をすることにしました.

 

参加者の全員がある程度の知識を持っていなければ,双方向の議論ではなくて,一方的な教示する形式になってしまうことも想定されますが,最初はそれでいいと思うんですよね.同じ情報でも,きっとみんなそれぞれに着想が違う可能性もあるわけで,質問を受けることでハッと気づくことも出てくることもあると思うので.

 

「三人寄れば文殊の知恵」です.

 

3人でも集まり,共有した情報を現場で生かした上で気づいたことを,翌日,皆で共有すれば,経験値は単純に3倍になるかもしれません.一人でやるよりも物事のスピード感は上がる感じが間違いなくしますね.その意味で,同じ志,意気込みを持った仲間が集まって物事に取り組めることは本当にありがたいことです.

 

僕が伝えられるのはこれまでに経験した,脳画像,脳機能イメージング,徒手的介入,UABで学んだCI療法(←私自身も実践を通じて鋭意勉強中ですが!)等ですが,学びを通じてさらに幅広く,奥深く研鑽できればと思っています.僕自身は,アイディアを考えたりする時にタメ口になることは全く気にしない人なので(私以外の人へ話す時に失礼に当たらないようにマナーとして身につけた方がいいことは伝えることはしますが),議論をして,考える幅を広げてアイディアを生み出すことにみんなで取り組める環境作りをして,学び,解決し,対象となる方々に喜んでもらうポジティブなスパイラルをどんどん作りたいと思います.そして,その得られた知見を,研究ベースへ乗せて,そして学術論文へとあげていきたいな〜 : )

 

ニカクメや,脳フェスのことも共有して,病院だけでなく,外で行われていること,社会や企業で必要とされたり,作業療法の知識や知見を活かして活躍できることも合わせて伝えたいなと思います.

 

皆に恥じないように,活動に取り組まないといけなくなる自分への追い込み作戦でもありますwww

脳卒中フェスティバル2018@六本木ヒルズ

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脳卒中は,生活が一変する疾患です.体に後遺症が残ることも少なくありません.脳卒中サバイバーの作業療法に病院で関わるひとりのスタッフとして,病院を退院した後の生活の方が圧倒的に長いので,ご自宅へ帰ってからの生活のことがとても気がかりなのです.自身の身の回りの事,仕事,その他に自身が楽しめる活動に取り組めているかなぁという事です.

 

わからないなら,脳卒中経験者の方々とともに活動して,場を共有しながら話を聞いたり,考える事がいいですよね.という事で,脳卒中友の会のクリスマス会へ参加させて頂いたりしてきました.その中で,2017年から脳卒中経験者,兼理学療法士の小林純也代表を中心に.脳卒中経験者や家族・セラピストが本気で楽しむ大人の文化祭「脳卒中フェスティバル」の開催に参加してきました.楽しい1日をきっかけに、当事者同士の交流や社会復帰を促す事が目的でもあります.

 

その脳卒中フェスティバルが,今年も以下の日程で開催されます!

 

開催日:2018年11月11日(日曜日)

場 所:ハリウッド美容専門学校@東京・六本木
 

www.google.co.jp

 

現在,充実したフェスにできるようにクラウドファンデングを実施しています.脳卒中の当事者,ご家族,療法士など,興味がある方はどなたでもご参加可能です.脳卒中フェスティバルが開催されることを知り合いに伝えて頂ければ,また,もし可能であれば,ご支援頂けると幸いです.よろしくお願いします!

 

▼▼▼ クラウドファンディング のリンクは以下です ▼▼▼

readyfor.jp

片手でもネクタイは着けられる

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こんにちは.

 

昨日は,脳卒中後の復職支援についてどのように進めていけばいいのか?

そんなことを話し合う機会がありました.

 

その復職支援を円滑に進める仕組み作りについて,引き続き練っていくことが必要かと考えているんですが,復職する,さらには社会生活を送るということをへ拡大していくと必要になることの一つに,ネクタイを締めることがあると思います(特に男性ですね).

 

クールビスが進んで,必ずしもネクタイをする必要も少なくはなりましたが,冠婚葬祭での礼服を着る時にはやっぱりネクタイ装着が必要になりますからね.

 

頻度は少ない可能性はあるにせよ,男性にとってネクタイを着けることは,大切な行為かなと思っています.

 

ネクタイは通常両手で締めることがよく見本で示されれていますが,脳卒中の後遺症によって片手でネクタイを締める場合にはどのようにしたらいいか?

 

ということで,脳卒中サバイバーの方にご協力頂き作成したものが,以下の動画です.

 


完全に片手だけでネクタイを締め上げていますよね!

実際に,この動画をみて学び,自分でネクタイが締められるようになったという声を現場から頂いてます.

 

自分の知らないところで活動を習得してくれているとうことは,こんな嬉しいことはありませんね!

 

一方で,脳卒中後に立体的な形を理解しようとすると混乱してしまう方もおられ,ネクタイを上手く締められないという方もいらっしゃいます.この現状をどうしようかなと思っていたところ,クリップによって着けられるネクタイが作られていました!

 


このネクタイなら,締め上げる必要はないので,襟元にクリップをちゃんと着けられればネクタイを締めているようになりますね.

 

これまで勝負時に着けてきたネクタイなど,思い入れのあるネクタイを着けたいという方もいらっしゃいます(とっても共感します!!!).ただ,急いでいる時にも比較的すぐに着けられるワンタッチネクタイは状況を選んで活用できる価値あるネクタイだなと思いました.

 

今日はここまでです.

有難うございました.

 

脳卒中サバイバーの日常生活で必要となるであろう生活行為の知識を発信すしているサイトも管理してますので,良かったら見てやってください.

www.nikakume.com

 

万事に共通するコト「動くことで分かる」

第20回日本脳機能イメージング学会に参加してきました

 

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定期的に参加している学会なんですが,今回はニューロマーケティングのセッションがあったりして,フォーカスされる内容がドンドン変わっている感じをひしひしと感じました.

 

興味深い報告が沢山あり面白かったのですが,中でも今回は下條信輔先生(カリフォルニア工科大学教授)の講演を生で聴けたことが本当に良かったです.

 

下條先生のことを初めて知ったのは,臨床のヒントを探る中でぶち当たった『サブリミナル・マインド: 潜在的人間観のゆくえ(中公新書)』を読んだことでしたね.

 

 

今日の先生のお話は,「見えるとは何か?」から始まるものでした.講演の中では,景色を音として表現するできる「The vOICe」というディバイスを使っている盲者の「見える」という経験を科学的に突き詰めてる結果を解説してくださいました.

 

The vOICe に関する記事>>

http://www.apa.org/science/about/psa/2013/02/blindness.aspx

  

中でも頭に止まったのは,「耳で聞いて,見えている」ということ.

 

The vOICeは見えている景色をテクスチャとして認識して音に変換するもので,ブラインドのように横の縞模様になるもの目の前にして頭を左右に傾けると,ブラインドが斜め上向き,あるいは斜め下向きになるので,聞こえる音に変化を起きる為,結果的にブラインドが水平に伸びていることが分かるということなのです.

 

何故このことが頭に止まったかというと.

 

昨日,レイチャールズの自伝映画『Rey』を見ていたから!映像の中で,レイチャールズも「耳で見ている」って言っていたんですね.そういえば,レイチャールズも頭をよく動かしているけど,関係しているのかな?と思ったんですよね.

 

脳は,変化量が大きい情報への感度が高いということかと思ったりしています.

 

 

「動くことで分かる」は万事に共通すること

 

The vOICeのように,自分で動いて,聴覚刺激を変化させることを通じて,外観を把握することもそうですが,話を拡大すれば,学会に出席する(自分で動く)ことによって,最新の情報や,分野における自分の立ち位置を把握することができるわけで,「動くいて変化を作ること」の重要性は万事に共通してるなと思います.

 

動いていくこと,今後とも大切にしていきます!

 

乱文となりましたが,本日もありがとございました.

 

脳画像のセミナー講演が決まりました

 

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「脳画像の読影」のテーマで,セミナーが決まりました.このような機会を頂けるとことは有難いことです.これまで私が培ってきたことを,お伝えできればと思います.

 

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セミナー概要

 

脳損傷によって起きた症状を考えるために脳をみる.私の始まりもそうだったように,至ってシンプルな発想です.しかし,脳画像を見ることができなければ,見ることをやめてしまいます.わたし自身が苦戦したところ,またそれに対してどう対処していったかなどを踏まえながら,今回は,運動機能にフォーカスして,基本的な脳画像の見方を噛み砕いてお伝えしていきます.どの画像を選び,どこを見たらいいのか,通常より細かく撮影された実際のMRI画像を見ながら,基本的な脳画像の見方を身につけて頂ければ幸いです.よろしくお願いします.

 

テーマ1.脳画像を見るためのポイント
     - 観察と脳画像の其々のメリットを活かすことが大切
     - 全体から局所へ〜損傷部位だけでなく非損傷部位を見る大切さ〜

テーマ2.脳画像の種類と特徴

     - T1WI,T2WI,FLAIRなどの画像の種類を判断し,特徴を把握する

テーマ3.MRI皮質脊髄路を捉える

     - 画像撮影のランドマークを知る

     - 皮質,放線冠,内包,大脳脚の各部位の皮質脊髄路の経路を確認する

     - 皮質,内包,大脳脚における上下肢・顔面の部位を把握する

     - 皮質脊髄路MRIで追跡する

テーマ4.損傷による脳部位の変化を把握する

テーマ5.脳画像から症例の運動機能を推察に挑戦する

  

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当事者の声を聞けているか「心理学を学ぶ」

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今でこそ,当事者の方々が,書籍などのメディアを使って,入院時の様子や理学療法作業療法,言語聴覚療法を受けている時の感想,症状を内観を伝えてくれるようになってますよね.

推薦:「脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい,本当のこと(三輪書店)」 

 

しかし,以前,作業療法協会の重鎮の先生とお話ししていた時,こんなことをおっしゃっていました.「これまで当事者の声を十分に聞かないで発展してきたことが反省点ですよ」と.当事者のニーズに寄り添って成り立つものなのに,一方向の関わりだったかもしれないんですよね.

 

今でも,まだその余韻が残ってるんではないでしょうか?

例えば,整形疾患なので,運動機能だけを評価する.中枢疾患なので,運動機能と認知機能を評価する.十分なようで,不十分だとやっぱり思うんですね.それは.「心理機能」です.先進的な方・施設ではすでに着手してますよね.

 

私もようやくその重要性に気づいて,系統だって学ぶことにしたんですよ.日々,個人でも,組織内でも,心理変動,物事の解釈が行動に強く影響することは体感しているのに!カウンセリング・コーチングに力を入れて取り組まれている方がいるのに!ようやくって感じです.

 

5月には渡米して,心理学を軸に据えた運動療法を学びにいくので,自分のフォーカスするポイントが,運動機能,認知機能を経て,心理機能に向かってるとつくづく感じるこの頃です.

  

そして,今日は有益な話しを聞けたこともあって改めて思ったのですが,研修会って本当にありがたいですよね!車輪の再発明を避けられる上に,その先生が数年〜数十年単位で学んで培ったものを,数時間程度で学ぶことができるんですから.

 

この有益な事柄を忘れないうちに消化できるように振り返りを繰り返したいと思います.振り返りなき情報インプットは,刹那で,薄く・浅く残るだけで,身につかないですからね.鉄は熱いうちに打ちます!!!

 

それでは,本日もお読みいただきありがとうございました!

伝えたい!「片手で靴紐は結べる」

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「オシャレは足元から」ということが言われたりすることがありますが,そんなこととは関係なく,僕は,高校生の時,白いスニーカーのシューレースの色を替えて毎日違う靴を履くほど靴が好きでした.

 

そんな靴への思い入れがあるからこそ,脳卒中になってから好きな靴が履けないということがどうにか避けられないか?と思うんですね.

 

確かに,装具を履いたりするために靴の幅が広く必要になるために,靴の形状が絞られることはあります.でも,「靴の紐が結べない」という理由で好きな靴を諦めることは思って欲しくないし,思わせてはいけないと思っているんです.

 

病前の生活を再度獲得するという作業療法士としてのエゴなのかもしれませんが,それを必要だと思ってくれる人がいるのであれば,お伝えしたい.

 

「片手でも靴紐は結べる!」ということを.

 

動画はこちら>> 片手で靴紐を結ぶ方法 | 2kaku-me TOP

 

ぜひ,ご覧ください.

 

それでは.最後までお読みいただき有難うございました!